GLP-1受容体作動薬のすべて

2026/04/04

GLP-1受容体作動薬のすべて

なかはら内科クリニック 院長コラム

「痩せる注射」って何?
GLP-1受容体作動薬のすべて

オゼンピック・ウゴービ・マンジャロ…いま話題のお薬を院長がわかりやすく解説します

最近、「オゼンピック」「ウゴービ」「マンジャロ」といった薬の名前を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。これらはすべてGLP-1受容体作動薬と呼ばれる新しいタイプのお薬です。2型糖尿病や肥満症の治療に使われるこれらのお薬について、わかりやすく解説します。

そもそもGLP-1って何?

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、食事をしたときに腸から分泌されるホルモンです。「インクレチン」と呼ばれるホルモンの一種で、食後に血糖値が上がると膵臓に働きかけてインスリンを分泌させます。

🔬 GLP-1のはたらき

💉 食後のインスリン分泌を促す
⬇️ グルカゴンの分泌を抑える
🍽️ 胃の動きをゆっくりにする
🧠 満腹感を高めて食欲を抑える

天然のGLP-1はすぐに体内で分解されてしまいますが、GLP-1受容体作動薬はこれを分解されにくくした薬です。

どんな効果があるの?

血糖値を下げる

大規模な臨床試験で、HbA1c(過去1〜2ヶ月の血糖コントロールの指標)を1.5〜2%程度低下させることが示されています。これは非常に大きな改善です。

体重を減らす

一般名(商品名) 体重減少の目安
リラグルチド(ビクトーザ/サクセンダ) 約5%
セマグルチド注射(オゼンピック/ウゴービ) 約15%
チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド) 15〜21%

心臓・腎臓を守る

大規模な試験で、心筋梗塞・脳卒中などの心血管イベントを約14〜26%減らすことが示されました。また、糖尿病による腎臓病の進行を約3年遅らせる効果も確認されています。

📋 2025年1月、セマグルチド(オゼンピック)は腎臓病リスクを下げる薬としてFDA(米国食品医薬品局)に承認されました。

副作用は?

⚠️ よくある副作用(消化器系)

  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢・便秘
  • 腹部膨満感

投与開始後8週間以内に出やすく、徐々に量を増やすことで軽減できることが多いです。

🔴 まれな重篤な副作用

  • 胆石症(約1.5倍のリスク)
  • 急性膵炎
  • 筋肉量・骨密度の低下

骨密度は52週間使用で約1%低下の報告あり。長期的なフォローが必要です。

現在使用できる主なGLP-1受容体作動薬

一般名(商品名) 特徴
エキセナチド
(バイエッタ)
短時間型・1日2回注射。最初に承認されたGLP-1製剤
エキセナチド持続放出型
(ビデュリオン)
週1回注射
リラグルチド
(ビクトーザ/サクセンダ)
1日1回注射。2014年に肥満症治療薬として初承認
リキシセナチド
(リキスミア)
1日1回注射
デュラグルチド
(トルリシティ)
週1回注射・長時間型
セマグルチド注射
(オゼンピック/ウゴービ)
週1回注射。糖尿病・肥満症の両方に承認
セマグルチド錠
(リベルサス)
1日1回内服。飲み薬タイプ・糖尿病治療用
チルゼパチド
(マンジャロ/ゼップバウンド)
週1回注射。GLP-1+GIPデュアル作動薬。最大21%の体重減少

大事な注意点

🔄

薬をやめると体重が戻りやすいため、継続的な使用が基本です

💴

費用が高額になることがあります。保険適用の条件をよく確認しましょう

💊

他の糖尿病薬と組み合わせると低血糖のリスクがある場合があります

🏥

手術前は必ず主治医にご相談ください(胃の動きが遅くなるため、麻酔のリスクが上がる場合があります)

まとめ

GLP-1受容体作動薬は、血糖コントロール・体重減少・心臓・腎臓の保護という一石四鳥の効果が期待できる、現代の糖尿病・肥満治療の中心的なお薬です。ただし、万能ではなく、副作用や費用の問題、長期的なデータの蓄積が必要な部分もあります。

ご自身に合った治療法については、ぜひ当クリニックでご相談ください

なかはら内科クリニック

院長 岸 智

N Engl J Med 2026;394:1313-1324



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