予防接種

はじめに

予防接種は、細菌やウイルスなどの病原体から作製したワクチンを接種することによって特定の病気になりにくくし、また、たとえその病気になったとしても軽症で済むようにします。
当クリニックではインフルエンザ、および主に高齢者向けに肺炎球菌のワクチン接種などを行っております。

予防接種一覧と費用について

麻しん(はしか) 7.500円
風しん 7,500円
麻しん(はしか)風しん混合(MR) 10,200円
麻しん(はしか)風しん混合(MR)【川崎市】 3,200円
水痘(みずぼうそう)帯状疱疹(従来の生ワクチン) 8,600円
帯状疱疹(シングリックス) 23,000円(×2回)
おたふくかぜ 9,000円
A型肝炎(エイムゲン) 9,000円(×3回)
B型肝炎(ビームゲン・ヘプタバックス) 7,000円(×3回)
肺炎球菌(ニューモバックス) 9,500円
高齢者肺炎球菌(ニューモバックス):公費助成対象者 4,500円
インフルエンザ 3,500円
高齢者インフルエンザ :公費助成対象者 2,300円
インフルエンザ(フルービックHA):チメロサールフリー 4,400円
COVID-19(コミナティRTU) 16,000円
RSウイルスワクチン(アレックスビー®) 27,000円
HPV(ガーダシル4価) 17,000円(×3回)
HPV(シルガード9価) 36,500円(×2回または3回)
HPV(ガーダシル4価・シルガード9価):公費助成対象者 0円(×2回または3回)
(税込)

麻しん(はしか)

麻しん(はしか)の感染を予防するワクチンです。麻疹は感染力が非常に強く、高熱が続く辛い感染症というだけでなく、肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こしやすく、時には命を落とすこともあります。

風しん

風疹の感染を予防するワクチンです。風疹では発熱と同時に発疹もみられます。 麻疹ほど重症化することはありませんが、妊娠初期の女性がかかると先天風疹症候群の子どもが生まれることがあります。

麻しん(はしか)風しん混合(MR)

麻疹・風疹混合ワクチンのことをMRワクチンと言います。かつては、麻疹と風疹は別々のワクチンとして接種していましたが、現在はこの混合ワクチンが主流です。

MRワクチン(風疹単独ワクチンも同じ)は妊婦さんに打つことはできないので、妊娠を希望される時点で接種することが望ましい他、妊婦さんと同居している方でMRワクチンを2回打ったことがない方に接種が勧められます。

風しんの追加的対策について

1990年4月2日以前に生まれた方は、風疹ワクチンを1回、もしくは1回も受けていない方がいます。これらの方は、風疹に対する免疫が減弱している、あるいは罹患しやすい状態にあります。 風しんの追加的対策を川崎市で行っておりますので、公費助成の対象者など、詳しくは川崎市のホームページをご確認下さい。

川崎市ホームページ


水痘(みずぼうそう)

水痘(みずぼうそう)は水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって発症し、発熱とともに、かゆみのある赤い発疹が現れて水ぶくれになり、全身に広がります。全てがかさぶたになるまで感染力は持続し、治癒までに約1週間かかります。予防接種をしてもかかることはありますが、軽く済むことが多いです。

帯状疱疹(シングリックス・従来の生ワクチン)

これまで水ぼうそう(水痘)に罹ったことのある方が対象となります。水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで、全身に水疱が瞬く間に発生する感染症で、皮膚が赤くただれ、かさぶた化し、剥がれることで症状は治まるようになるのですが、ウイルス自体は体外に排出されることはなく、神経節に潜伏し続けている状態になります。

その後、加齢や過労、ストレスといったことが引き金となって、潜伏していたウイルスが再び活性化すると、神経痛のような痛みがみられた後に、左右どちらか片側の神経に沿って、帯状に赤い発疹や水ぶくれ、強い痛みが現れるようになります。皮膚症状はやがて治まるようになるのですが、神経でみられていた痛みがいつまでも続くことがあります。これを帯状疱疹後神経痛と言います。

主な症状ですが、体の一部片側に痛みやかゆみのある発疹や水ぶくれが神経に沿って帯状にみられるようになります。またウイルスの活性化によって神経が傷つき、それによってピリピリした神経痛が現れるようにもなるのですが、これは皮膚症状が治まった後も続くことがあります。この状態を帯状疱疹後神経痛と言います。50歳以上の方の2割程度の方が、この帯状疱疹後神経痛に悩んでいると言われています。

上記のような日常生活にも支障をきたすような痛みを発生させる可能性のある病気をあらかじめ予防しようというのが帯状疱疹ワクチンです。なお接種対象は50歳以上となっています。

帯状疱疹.jp


ワクチンの比較

帯状疱疹ワクチンには、「ビケン製の生ワクチン」と「シングリックス®」の2種類があります。
「ビケン」製の帯状疱疹ワクチンは、弱毒化された生きたウイルスが含まれています(生ワクチン)。小児に使用する水痘ワクチンですが、2016年から帯状疱疹予防として認可されています。
一方、「シングリックス®」は帯状疱疹を予防するために独自に開発されたワクチンで、サブユニットワクチンという種類のものです。ウイルス表面タンパクの一部を抗原とした組換えワクチンで、生ワクチンではありません。

ワクチンの効果

従来の帯状疱疹ワクチンの場合

アメリカの研究では、同ワクチンにより帯状疱疹の発生率が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発生率も66.5%減りました。帯状疱疹の重症度も61.1%低下したと報告されています。
しかし、帯状疱疹予防効果は接種後3~11年で予防効果が減弱する報告があります。
Schmader KE,et al. Clin Infect Dis 54:922-928,2012

「シングリックス®」の場合

「シングリックス®」は従来のワクチン(水痘ワクチン)に比べて帯状疱疹を予防する効果が高く50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%の発症予防効果が認められています。
また、発症予防効果が少なくとも9年間たっても認められているのが、「シングリックス®」の特徴です。
Lal H. et al. N Engl J Med. 372(22), 2087-2096, 2015
Cunningham AL. et al. N Engl J Med. 375(11), 1019-1032, 2016
Schwarz TF. et al. Hum Vaccin Immunother. 14(6), 1370-1377, 2018

https://gskpro.com/ja-jp/movie/movie-patient/shingrix01/


おたふくかぜ

おたふくかぜは、両側または片側の耳下腺の痛みを伴う腫れと発熱を生じます。 約1週間程度で自然に治癒しますが、無菌性髄膜炎や脳炎、難聴の合併症が生じることがあります。水痘ワクチンとの同時接種が可能です。

A型肝炎(エイムゲン)

A型肝炎ウイルスは糞便から排出され、このウイルスで汚染された物が口に入ることで感染します。衛生状態が良くなったため自然感染の機会が激減し、近年では日本人のほとんどが免疫を持っていません。

A型肝炎ウイルスに感染すると、約1か月の潜伏期間の後に発熱や倦怠感、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られます。黄疸があらわれることもあります。

症状の出る前や収まった後にも、数週間はウイルスを排泄しますので他人に感染させないように注意が必要です。

B型肝炎(ビームゲン・ヘプタバックス)

B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染する病気で、母子感染、水平感染、性交渉が主な経路となります。感染力が強いのが特徴で、主に肝臓でウイルスが増殖するようになります。 B型肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎を起こしたり、長く棲みついて(キャリア化)、肝硬変や肝がんを引き起こしたりすることがあります。

B型肝炎には急性と慢性があり、急性肝炎は黄疸や発熱、肝機能異常などの症状がみられるようになります(人によっては症状が出ないこともあります)また慢性の場合は、母子感染や6歳未満のうちに感染することが多く、自覚症状が出にくいので放置しやすくなるのですが、成人になってもそのままの状態が続けば、肝硬変や肝がんを発症するリスクが高くなっています。

肺炎球菌(ニューモバックス)

肺炎は日本人の死因の第3位を占めています(厚生労働省発表の平成23年調査結果)。その肺炎を予防するためにできることの一つに、肺炎球菌ワクチンの接種があります。
肺炎の原因菌で最も多いと見られるのは、肺炎球菌です(成人の肺炎の20~40%がこの菌が原因と言われます)。肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぎます(ただし、すべての肺炎を予防できるわけではありません)。
65歳以上の方(肺炎により亡くなる方の95%以上が、65歳以上というデータがあります)や慢性疾患をお持ちの方などには、肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。 接種は、1年を通して、いつでも可能です。ただし、5年以内に再接種を行うと、注射部位の痛みなどが強く出ることがありますので、再接種を希望される方は、5年以上の間隔をあけてください。接種の年月日は、忘れないようにメモしておきましょう。 また、インフルエンザワクチンの接種を併せて行うことで、肺炎予防の強化につながりますので、肺炎を予防するためには、肺炎球菌ワクチンだけでなく、インフルエンザワクチンの接種も推奨されています。

以下に該当する人は成人用肺炎球菌ワクチンの接種が奨められています。
  • 65歳以上の方
  • 養護老人ホームや長期療養施設などに居住されている方
  • 慢性の持病(呼吸器疾患(COPDなど)、糖尿病、慢性心不全、肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患)をお持ちの方 など

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる疾患です。38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、せきなどの症状も見られます。お子様では稀に急性脳症を、ご高齢者や免疫力の低下している方では肺炎を伴うなど、重症化することがあります。
そんなインフルエンザを予防する有効な方法の一つに、流行前のワクチン接種があります。
インフルエンザウイルスは毎年違う種類が流行するため、予防接種も毎年行う必要があります。
インフルエンザワクチンは、接種してから効果が出るまでに約2週間かかり、その効果は約5ヶ月間持続します。日本では、インフルエンザが例年12月~3月頃に流行することを考えると、毎年10月下旬~12月に接種するのが良いでしょう。

インフルエンザ予防接種予診票(65歳未満)ダウンロード

インフルエンザ

HPV(ガーダシル4価・9価)

子宮頸癌の原因はヒトパピローマウイルス(以下HPV)というウイルスです。
HPVには種類があり、現在16,18型をはじめ31,33,45,52,58型を含む15個程度の型ががんになりやすく、ハイリスク型と呼ばれています。

子宮頸がん予防情報サイト「もっと守ろう」

厚生労働省:ヒトパピローマウイルス感染症

厚生労働省:9価ヒトパピローマウイルスワクチンについて

日本産科婦人科学会:子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために


公費対象のHPVワクチン

HPVワクチンは対象年齢の方なら公費(無料)で接種することができます。詳しくは川崎市のホームページをご確認下さい。

なお、キャッチアップワクチン接種も実施しております。

川崎市のホームページ


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