関連記事
2023.01.28
生活習慣病の治療中断による再出発(再治療):再掲と追記
今月になり、昨年春から夏を最後に未受診となって、症状・病態悪化で再受診となる患者さんが多くいらっしゃいました。 実は、当院は3ヶ月以上の未受診患者さんのリストを作成し、院長の私はご連絡しようかと、いつも悩みながらリストをみています。 受診する・しない、は患者さん個人の選択なので、強制的に受診させるような権限はございません。 でも、血圧コントロールのために必要な血圧の薬を飲まずにそのまま過ごすと、高齢になればなるほど心不全や脳出血、腎疾患(腎臓は一度機能が低下すると元に戻りにくいです。)などの重篤な状態に陥る頻度が高まります。また、糖尿病という病態も同様に、定期的なメンテナンスをしないと症状が出た時はそれなりの状態になっている事があります。
過去に生活習慣病の治療中断による再出発という記事を書きました。 将来のご自身のために、啓発という意味も込めて、再掲しようと思います。
ここ最近、 以前治療していたが、引越しや転勤、コロナ不安、もういいかなという心情で継続治療を中断し、検診などで悪化を指摘され再受診となる患者さんが増えてきています。 医療者は患者さんが継続通院しなくなることをlost follow(ロストフォロー)と言います。 特に、糖尿病、甲状腺疾患、高血圧は症状が悪化するまで病状進行に気が付きにくいため、lost followになってしまうと腎機能や心機能の悪化などの合併症が生じてしまっていることが多々見受けられます。 再治療は患者さん自身、そしてわれわれ医療者にも大きな負担(精神的にも、時間的にも、費用的にも)となります。 継続治療は高齢化社会において、いかに臓器を若々しく保たせ、自分らしく生活するために必要なことの一つです。 もう直ぐ春になると転居/転勤の時期になります。どうぞ、lost follow せず継続治療を行ってください。
厚生労働省と日本糖尿病協会が協力して制作した糖尿病啓発冊子 「糖尿病の治療を放置した働き盛りの今」という冊子があります。不安を刺激して通院してもらおうということではありません。自分の健康に目を向けて頂きたいという気持ちです。
https://www.nittokyo.or.jp/uploads/files/enlightenment_2020.pdf
数十年後の自分を想像しながら継続治療を行っていただければと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=BfV8ttQYElA
VIDEO
2022.12.03
糖尿病治療器具 スマートインスリンペン:スマートフォンと連携するインスリン・ペン型注入器について
Apple Watchで不整脈である心房細動検出など、日常の生活に使用するデジタル機器で健康を管理しやすくなってきています。デジタルという言葉でもう無理と感じてしまう方もおられますが、はじめの一歩を踏み出すと意外と使いやすく、もっと早く使っておけばよかったと実感する方もいるようです。 以前、紹介した24時間血糖値をスマホで測定することができる、フリースタイルリブレもそのひとつです。
なかはらクリニックは院長が新しい知見や研究・技術に関心があるので、可能な限り有用なものは患者さんの診療に落とし込みたいと考えて紹介しております。
今回紹介するのは、今年に発売されたインスリン注入器具であるインスリンペンのご紹介です。 特に1型糖尿病の患者さんやインスリン分泌能が低い2型糖尿病患者さんはインスリン使用が必要となります。 インスリンにはインスリン薬液と注入器が一体化したプレフィルド製剤と呼ばれるものやカートリッジ製剤などがあります。 スマートインスリンペンはこのカートリッジ製剤の注入機がスマホとの連携が可能となり、ペンをスマホにかざすだけでインスリン注入量とその時間を記録することができます。 えっ?!それだけ??と感じる方もおられますが、インスリンを使用している患者さんはそれをアナログで記載していたりしていました。毎食の血糖値を測定してそれを記載し、注入量を記録することはすごい負担となります。 フリースタイルリブレとスマートインスリンペンを併用するだけでその負担がとれて、かつ、インスリン使用量とその後の血糖値の変化をデジタルで見える化できるので、後での振り返りにも大変便利となります。 もし、ご興味がある患者さんがおられましたら、医師やスタッフにお声がけくださいませ。
以下が商品の紹介です。「ノボペン6」、「ノボペン エコー プラス」の特徴
「最後に注入ボタンを押したときの設定単位数およびそのときからの経過時間」を、最大99時間59分59秒まで本体のメモリー表示で確認できる。 直近の最大800回分の注入ボタンを押した履歴を本体内部に自動記録できる。 注入ボタンを押した履歴 (時間と投与量) をNFC(近距離通信システム)対応のスマートフォンアプリに無線転送できる。 最後に打った単位数と経過時間をペン上部の液晶画面で確認できる。 ノボペン6は最大投与量が60単位、1単位刻みで、カラーはグレーとブルーの2色。 ノボペンエコープラスのほうは最大投与量が30単位、0.5単位刻みで、カラーはレッドとライトブルーの2色。 3mLのペンフィルカートリッジで販売されている5種類のインスリンアナログ製剤(フィアスプ注、ノボラピッド注、トレシーバ注、レベミル注、ノボラピッド30ミックス注)を使用できる。
対応するスマホアプリ:リブレは対応予定
シンクヘルス リブレが対応するまでは、機能的にこちらがおすすめです。
スマートe-SMBG
2022.09.27
糖尿病を知りたい方へ:おすすめアプリ
なかはら内科クリニックは糖尿病専門クリニックです。 健診で高血糖や糖尿病を疑われ当院を受診する方がいらっしゃいます。 患者さん一人ひとりに時間をかけて病態と治療について説明しています。 中には、医師の前で緊張して説明がなかなか頭に入ってこないかたもおられると思います。 そんな方のために
日本糖尿病協会のホームページ
が有用です。 最近、協会の方から糖尿病の病態を丁寧に解説しているアプリが出ました。 ぜひご活用ください。 リンク↓
https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=183
#糖尿病 #アプリ #日本糖尿病協会
2022.07.07
2型糖尿病患者の平均寿命について
今までの日本人を対象としたデータでも、2型糖尿病患者の平均寿命は一般人と比べて約10年短いと言われています。
糖尿病は症状が出づらい代謝の病気です。 そして、長い年月を経て血管が痛むことによって生じる
脳梗塞・狭心症・心筋梗塞などの動脈硬化疾患
として突然生じることが多いのです。 また、糖尿病(主に2型糖尿病)がある方は、がんリスクが20%ほど高いことが報告されています。
日本人では特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高いとされています。
これらが死因となることが多いのです。
さて、こんな話をされると、どうせ寿命が短くなるであれば、好きなことして過ごした方がいいということになりかねません。
しかし、ここ最近、いろいろな論文が出てきており、動脈硬化症の危険因子をコントロールすれば、一般人の同年代と同じ寿命を獲得することができるのではないかと言われています。 その因子とは。
<5つの危険因子>
①HbA1c>7% ②LDL>97mg/dL ③血圧>140/80mmHg ④喫煙 ⑤微量アルブミン尿・蛋白尿
つまり、血糖コントロールだけでなく、 この5つの危険因子を正常化するだけで、同年齢の病気でない人と同じような寿命を望める。 ようになります。
Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetesより
当院では、患者さんの生活を考えながら個々人の危険因子を総合的にコントロールして、 健康寿命を延ばし、患者さんらしい人生を送ってもらえるように診療にあたっております。
2022.07.02
暑い夏におすすめ自宅でフィットネス
コロナで在宅時間が増えてきた、運動したいけど暑くて外に出れない。。。 そんな方の選択肢として
Fit-eNce Home ™
というものがあります。 ゴムチューブとアプリで運動を管理し、月に1度パーソナルトレーナーがつくというサービスです。 椅子と一畳程度の広さがあれば行えました。
2022.06.25
再掲:糖尿病患者さんへ:ジュース・スポーツドリンクに注意しましょう!
ここ最近、暑い中での生活を通してこまめな水分補給をしていると思います。 患者さんの中で、スポーツドリンクで塩分・水分を補っています。1日1L飲んでいる。とお話しされていました。その時の血糖値が今までのコントロールよりも悪化していたことに驚かれていました。原因は500mlに砂糖約33g(カロリー135kcal)のスポーツドリンクが原因でした。 炭酸飲料などでは500mlで砂糖約55gといわれています。 医療の中で問題となっているのは、このように清涼飲料水の飲み過ぎで起こるペットボトル症候群です。 飲みすぎは危険です。脱水予防として飲んでいる清涼飲料水の多飲によって血糖値が上昇し、やがて脱水と意識障害に陥る可能性があります。 麦茶・ルイボスティ・お茶などがおすすめです。
追記2022.08.03Yahoo!ニュースでも関連リンクがございました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/19c60ff7ce08ac61d9f7eb3c2c74712b7c3ec662
2022.05.21
日本糖尿病療養指導士 合格!!
【お知らせ】日本糖尿病療養指導士 2名合格!!
令和3年度 一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構 の日本糖尿病療養指導士に当院スタッフ2名が合格しました! 当院で糖尿病患者さんが増えている状況の中で、優秀なスタッフが、日々研鑽をかさねてきた結果です。 スタッフ皆が高度な医療を大切な患者さんに還元したいという思いが実りました。 本当に、嬉しいです。 合格おめでとうございます!!
当院では日本糖尿病療養指導士 4名が在籍し、日々の診療に携わっています。 医師だけでなく、看護師・栄養士にも健康相談してみては如何でしょうか。 自分に合った生活療法が見つかるかもしれません。
CDEJ(日本糖尿病療養指導士)とは Certified Diabetes Educator of Japan; CDEJ
CDEJ (日本糖尿病療養指導士)とは、 糖尿病治療にもっとも大切な自己管理(療養)を患者に指導する医療スタッフです。 高度でかつ幅広い専門知識をもち、患者の糖尿病セルフケアを支援します。
この資格は、一定の経験を有し試験に合格した看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士に与えられ、2001年3月に第1回認定試験が行われました。 CDEJに認定されることは、糖尿病の臨床における生活指導のエキスパートであることを意味します。 糖尿病患者の療養指導は糖尿病の治療そのものであるとする立場から、患者に対する療養指導業務は、わが国の医療法で定められたそれぞれの医療職の業務に則って行われます。 米国、カナダ、オーストラリアなどでは1970年代の初頭より、糖尿病療養指導従事者の専門性と認定について検討され、1986年には資格としてCDE(Certified Diabetes Educator)制度が発足し、実績を積んでいます。 医療は日々進歩しますので、CDEJとして認定された後も引き続き実践と研鑽を重ねて最新の知識・技能を身につける必要があります。このため、CDEJの認定制度は5年毎の更新制となっています。
2022.02.23
院長が協力した論文が発表されました.
院長が協力した論文が学術誌:Renal Replacement Therapy で発表されました. 透析患者の動脈硬化進展の表現である大動脈石灰化の進展度合い解析すると、 大動脈石灰化が強くなるほど、心血管疾患だけでなく、感染症や栄養失調に関連する死因が増大することを示した研究です。 検診で大動脈に石灰化を指摘される患者がおられます。 その石灰化の量が増大するほど心血管疾患による死亡率が上昇するというメッセージです。 動脈硬化症が進展してしまうと石灰化の状態になります。 動脈硬化症予防は血圧・脂質・血糖・体重コントロールです。もちろん、禁煙もしなければなりません。 血管含め臓器を若々しく保ちながら加齢していければいいですね。 なかはら内科クリニックは高血圧だけでなく糖尿病専門クリニックでもあります。 糖尿病の血糖コンロトールだけでなく血圧・脂質管理をすることにより、糖尿病の最大の合併症である透析療法を回避すべく、日々患者さんと共に頑張っております。
https://rrtjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41100-022-00394-8
11月14日は世界糖尿病デーです。 毎年この日を啓発機関として世界的に取り上げています。 どうしてでしょうか? 以下のリンクをご参照ください。 なかはら内科クリニックは糖尿病専門クリニックの一つです。 検診などで高血糖や糖尿病疑いなど指摘されていれば、一度ご相談くださいませ。 放っておくことが一番まずい経過をたどります。
https://www.wddj.jp/ 01_howto .htm
世界で6秒に1人の命を奪う糖尿病
糖尿病は今や世界の成人人口のおよそ9.3%となる4億6,300万人が抱える病気です。一般的に死に至る病気との認識は薄いですが、年間実に500万人以上が糖尿病の引き起こす合併症などが原因で死亡しています。これは世界のどこかで、6秒に1人が糖尿病に関連する病で命を奪われている計算となり、AIDSによる死者に並ぶ数字です。ちなみに、国連決議が採択された2006年は10秒に1人でしたから、残念なことに9年間で4秒縮んでしまいました。このまま進むと、世界の糖尿病人口は、2045年には約7億人に達することが予想されています。糖尿病患者の増加は特に発展途上国で顕著に見られ、経済成長、生活水準の向上、教育改善の大きな妨げとなっています。
患者さん向けにいろいろなイベントを行っているようです。 いい機会ですので、一度参加されることをお勧めします。
*世界糖尿病デー2021オンラインシンポジウム
*2021年世界糖尿病デーオンライン企画
2021.06.17
院長が協力した研究が報告されます。
第64回日本腎臓学会学術総会が令和3年6月18日から20日の3日間、パシフィコ横浜とWEBで開催されます。 今回、院長が協力した、糖尿病患者さんの腎機能と動脈硬化症の進展についての研究が発表されます。 この研究は、昨今、タンパク尿を呈さない腎機能が低下した糖尿病という病態が問題となっており、糖尿病性腎臓病Diabetic kidney disease(DKD )と言われています。 このDKDを呈している患者さんの冠動脈硬化症の進展を観察した研究です。
メッセージは『糖尿病生腎臓病の経過が長いほど、狭心症や心筋梗塞に進展する原因である冠動脈硬化症が重症化しやすい。』ということです。
当院でも、糖尿病で通院している患者さんに定期的に採血・採尿をして腎機能やタンパク尿の確認をしているなと、お感じになっている患者さんも多いと思います。 進展予防には、適切な食事・運動による、血圧コントロール・脂質コントロール・血糖コントロール、そして禁煙です。 自分らしい健康的な日常の生活を送っていただければと思いながらスタッフ一同、診療にあたらせていただいております。
詳細は下記です。 第64回日本腎臓学会学術総会 P-117
https://jsn.or.jp/general/congress/journal/63_4.pdf
災害時の対応に備え、日本IDDMネットワークにインスリンを使用している患者さん向けのサイトがございます。ご参照して下さい。
2021.01.29
フリースタイルリブレ最新情報
なかはら内科クリニックでは主に1型糖尿病の血糖値測定にフリースタイルリブレを使用しております。 現在、AbbottのサイトにリブレViewというクラウドで血糖管理ができるツールがあります。
https://www.myfreestyle.jp/patient/support/libreview/
今回、さらに2月9日にリブレリンクというアプリがリリースされます。
スマホで血糖値を読み取ることが可能となり、また、その精度が改善されるようです。
スマホからご自身のリブレViewアカウントに自動的にUPLOADされ、血糖管理ツールであるリブレViewでクリニックと共有することも可能になります。
詳細はクリニックにご相談ください。
2020.10.29
Medical Practiceに掲載されました。
内科医の読む雑誌Medical PracticeのOne Point Adviceに院長コメントが掲載されました. ・Medical Practice 2020年11月号(37巻11号):One Point Advice詳しくはコチラ→
2020.09.14
鼻からの低血糖治療薬が処方可能となります。
低血糖治療薬として日本イーライリリーから救急治療薬「バクスミー点鼻粉末剤3mg」(一般名:グルカゴン)が10月2日から処方可能となります。 今までグルカゴン注射で対応していましたが、点鼻投与となり簡便な治療法となります。 インスリン治療を受けている患者で特に重症低血糖に対して有効な治療です。 詳細はこちら
http://dm-rg.net/news/2020/03/020317.html
https://www.diabetes.co.jp/consumer/usage-baqsimi
以下の状態ではその効果を得られません 。
飢餓状態、副腎機能低下症、頻発する低血糖、一部糖原病、肝硬変等の場合、血糖上昇効果はほとんど期待できません。また、アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられません。 →グルカゴンの血糖上昇作用は、主として肝グリコーゲンの分解によるので、飢餓状態、副腎機能低下症、頻発する低血糖、一部糖原病、肝硬変等の場合、血糖上昇効果はほとんど期待できません。また、アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられません。(日本イーライリリーから引用)
2020.06.08
院長の関わった論文が発表されました。
院長が責任著者として関わった論文が日本心臓病学会雑誌 (Journal of Cardiology)から発表されました。
これは無症状の糖尿病患者を対象に毎年動脈硬化症検査を行い、経時的に血糖コントロールが高いと冠動脈プラーク堆積が上昇するというメッセージです。
ある程度想像がつくとは思いますが、血糖コントロールがいいほど、そして、LDLコレステロールが低いほど狭心症・心筋梗塞の原因となる動脈硬化症の進展が抑制されます。 https://www.journal-of-cardiology.com/article/S0914-5087(20)30164-7/fulltext
・糖尿病と感染症 (COVID-19を含めて) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で4月7日に緊急事態宣言が発令されてから約2ヶ月が経とうとしている。「Stay Home」「不要不急の外出自粛」の生活により新規感染者は全国的に減少傾向にある。一方で、活動性の低下や間食増加・運動量に対して相対的な食事摂取量増加により体重増加を呈する患者が増えているという。生活習慣病の患者さんを中心に診察している私の外来では1―2ヶ月ぶりにお会いする患者さんの殆どが血糖コントロール悪化・中性脂肪増加・肝機能障害を認めていた。そして、患者さんが口にすることは、持病を持っていると「コロナに罹りやすい」「悪化しやすい」という根拠に、感染確率を下げるために外出を控え、よく食べよく寝ることを実践していたようであった。
しかし、感染症はCOVID-19だけではない。糖尿病に関しては血糖コントロール不良になればなるほど感染リスクは上昇することは周知の事実である。実際にどのくらいのリスクかというと、感染症のなりやすさをオッズ比であらわすことができるが、“非糖尿病群“に対して“糖尿病群“では全ての感染症に対してオッズ比が1.5 (95% C.I. 1.46-1.54)となる。では、血糖コントロールではどうか。全ての感染症に対してHbA1c<7%の群と比べると、7%−8.5%の群ではOR 1.11 (95% C.I. 1.05-1.18), >8.5%の群ではOR1.35% (95%C.I. 1.25-1.45)と血糖コントロール悪化に伴いそのリスクは増加する。
糖尿病とCOVID-19との関連について「糖尿病だとかかりやすいとか悪化しやすいとTVワイドショーでやっていたので家に引きこもっていました。先生、本当のところどうなの?」と患者さんによく質問を受ける。現在までの総説によると、罹患リスクは変わらないが、重症化しやすい傾向があるという。先日、中国武漢から糖尿病患者は、COVID-19の病状が急速に進行し予後不良となりやすいという研究結果が発表された。糖尿病群と非糖尿病群で比較すると、年齢や性別に有意差はなかったが、発熱の頻度は糖尿病群の方が有意に低かった(59.5 v.s. 83.2%、P=0.002)。糖尿病群の死亡率は10.8%で非糖尿病群の3.6%より高い傾向を認めた(P=0.185)。糖尿病群で主に炎症マーカー(CRP, IL-6, D-ダイマー)で高値(有意差あり)が認められ、胸部CT画像所見でも著明な変化が認められた。
今後も免疫獲得や治療法の確立がない限り、第2波などで「Stay Home」「不要不急の外出自粛」の生活を強いられる可能性があるが、生活習慣病を考慮するとバランスの取れた食事・運動生活を行うことが大切であることは言うまでもない。
2020.05.03
動脈硬化の進展を評価できるようになりました。
2020.05.01
メトホルミン製剤の一部ロット自主回収に関して
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=168 https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=126 https://healthcare.ds-pharma.jp/product/metglco/info/ https://www.ds-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ne20200427.pdf
2020年4月27日付で、大日本住友製薬株式会社のメトグルコ錠250mgおよび錠500mgの一部ロット、日本ジェネリック株式会社のメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「JG」の一部ロットが自主回収されることになりました。メトグルコ錠ではPTP包装品の複数のロットから管理指標を超える発がん性物質N-ニトロソジメチルアミン(以下「NDMA」)が検出され、原因は明確でないものの、PTPアルミ箔の印刷インクに含まれる物質が、錠剤中原薬に僅かに残留していた原料と反応して生成された可能性があるとのことです。
これまでに本製品によるNDMAに関連した重篤な健康被害等の報告はありません。 メトグルコなどメトホルミン製剤を服用中の患者の皆様は、本件について心配な点があれば独断で服用を中止せず、主治医に相談してください。
よく寄せられるご質問 Q1︓NDMAとは何ですか︖ A1︓N-ニトロソジメチルアミンの略称で発がん性が確認された環境汚染物質です。様々な産業の製造工程で発生したり、自然条件のもとでも発生したりする可能性があり、飲料水や肉、野菜、乳製品からも検出されます。
Q2︓メトグルコ錠を⻑期で服用している場合の安全性について教えてください。 A2︓メトグルコ錠に関するNDMAの管理指標は、メトホルミン塩酸塩として1日2,250mgを70年間服用し続けた場合に10万人に1人に発がんするリスクが増える量として設定されています。今回は、この管理指標を超えるものが確認されましたが、患者さんの実際の服用量・服用期間等の服用状況を踏まえて考えますと、健康上の問題が発生する可能性は小さいと考えています。 Q3︓今服用しているメトグルコ錠はどうすればいいですか︖ A3︓お手元のメトグルコ錠はそのまま服用いただいて構いません。服用いただいた場合でも、健康上の問題が発生する可能性は小さいと考えています。
2020.04.22
インスリン注射や血糖自己測定用アルコール消毒綿不足時の対処について
現在,新型コロナウイルスの流行に伴いアルコールなどの消毒薬が入手困難となっております。その為,糖尿病患者さんに対してインスリン注射や血糖自己測定用アルコール消毒綿を提供することが困難となっておりますのでご了承くださいませ。 先日,日本くすりと糖尿病学会から糖尿病治療用注射製剤の自己注射や血糖自己測定用アルコール消毒綿不足時の対処についてについての例示が報告されておりますので,ご参考にしてください。https://jpds.or.jp/%ef%bc%88%e9%81%a9%e6%ad%a3%e4%bd%bf%e7%94%a8%e6%8e%a8%e9%80%b2%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%ef%bc%89%e7%b3%96%e5%b0%bf%e7%97%85%e6%b2%bb%e7%99%82%e7%94%a8%e6%b3%a8%e5%b0%84%e8%a3%bd%e5%89%a4%e3%81%ae/
日本糖尿病協会からも以下のようなお知らせがございます。 〜針やアルコール綿が入手できない非常時のインスリン注射や血糖自己測定の対応〜
予備の針やアルコール綿がなくても、入手できるまでは同じ針を使って注射や血糖自己測定を行います。
インスリン注射前は針が曲がってないことの確認と空打ち(試し打ち)を行います。皮膚が汚れてなければ消毒は不要です。
血糖自己測定も手洗いをすれば消毒は不要です。
針と注射器は自分1人の専用とし、決して患者間で共有してはいけません(肝炎などのウイルス感染が起こることがあります)。
引用文献: 「インスリン自己注射ガイド」日本糖尿病協会https://www.nittokyo.or.jp/uploads/files/GUIDE_140515_B5.pdf?fbclid=IwAR2576tH_yF-SNpv43XshqERVXVuKK7Ulg2gT-WCBf_bK5jLMBghXMZ7M0g 「糖尿病災害時サバイバルマニュアル 第2版」臨床糖尿病ネットワークhttps://www.cad-net.jp/introduction/about/our_work/anti-disaster_measures/pdf/diabetic_a4_rev2.pdf