睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome、OSAS)とは、いびきや睡眠中の無呼吸、日中の傾眠などを主訴とする疾患です。
いびきによる騒音だけではなく、未治療の成人の重症例では脳血管、心循環系など重篤な疾患の合併により長期の生存率が低下することや、睡眠の分断による日中傾眠が交通事故や産業事故などの原因となるリスクが問題です。
診断
成人の場合で日中の過度の眠気、睡眠中の窒息感やあえぎ、繰り返す覚醒、起床時の爽快感欠如、日中の疲労感、集中力欠如など閉塞型無呼吸に起因するさまざまな症候のいくつかを伴い、かつ睡眠検査において、無呼吸低呼吸指数が5以上の場合診断されます。
- ESS(epworth sleep iness scale) [ID0612]
- AHI(Apnea-Hypoxia-Index:無呼吸・低呼吸指数)=(無呼吸数+低呼吸数)÷睡眠時間
- ODI(oxygen desaturation index:酸素飽和度低下指数):手首にパルスオキシメーターを装着して、自宅で一晩、就寝中の動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定し、就寝中にSpO2の顕著な低下(3%以上)がみられた回数
- SOREMp:入眠時レム睡眠期
- PLMs:周期性四肢運動障害
- RBD(REM Sleep Behavior Disorder):レム睡眠行動異常症
- RWA(REM Sleep Without Atonia):筋活動低下を伴わないレム睡眠
- SDB:睡眠呼吸障害の分類
- 中枢型睡眠時無呼吸低呼吸症候群(CSAHS)
- 閉塞型睡眠時無呼吸症低呼吸候群(OSAS)
検査方法
無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)
1時間あたりの無呼吸・低呼吸の合計で表します。
エプワース睡眠尺度(Epworth Sleepiness Scale:ESS)
日中の眠気についてのチェックリストで、睡眠時無呼吸症候群の可能性を診断することができます。
終夜ポリグラフ検査
睡眠中の生体情報を一晩にわたって測定する検査です。
重症度・予後
重症度分類はAHIで行われることが多いです。
- 成人:軽症:5≦AHI<15、中等症:15≦AHI<30、重症:30≦AHI
- 小児:軽症:1≦AHI<5、中等症:5≦AHI<10、重症:10≦AHI
成人重症例の未治療例では、予後が悪化するため治療が必要です。
- AHI>11で循環器疾患発症のオッズ比は心不全が2.38倍、脳卒中が1.58倍、冠動脈疾患が1.27倍です。
- AHI>30の重症では全死亡リスクが1.46倍となります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
保存治療
CPAP治療では、重症例においてコントロールと同等の生存率が報告されており、第1選択治療となります。
終夜ポリグラフ検査によるAHI≧20(簡易無呼吸診断装置ではAHI≧40)の場合は経鼻持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positive airway pressure、nCPAP)が、AHI<20の場合は口腔内装置が第1選択となることが多いです。
また、肥満が主因の場合は、減量による根治を目指します。ほかに、原因として鼻閉などを認める場合は、鼻閉改善のための通院治療、点鼻ステロイド、抗ロイコトリエン薬を用いた保存治療から治療を開始します。
外科治療
CPAPなどが奏効していない場合の代替治療と位置付けられています。
口蓋扁桃肥大など主因となる上気道疾患や、鼻炎・鼻中隔弯曲症など保存治療を妨げる可能性の高い上気道疾患に対しては外科治療を含め、事前に治療を行います。また、肥満、高血圧、糖尿病などがある場合は、合併症治療も開始します。
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