2025.02.16
抗菌薬適正使用体制加算とは?
当院では抗生物質を無駄に使いません
患者さん:「先生、風邪をひいたので抗生物質をください!」
医師:「風邪の原因のほとんどは ウイルス なんです。抗生物質は 細菌 には効きますが、ウイルスには効果がありません。」
患者さん:「えっ?でも昔は風邪のたびに抗生物質をもらっていた気がしますが…?」
医師:「確かに昔は『風邪=抗生物質』という考え方が一般的でした。でも今では、抗生物質の乱用が 耐性菌 を増やす原因になることが分かっています。」
風邪に抗生物質は効きません!
患者さん:「でも、早く治したいんです…何かできることはありますか?」
医師:「風邪の治療の基本は 安静・水分補給・栄養補給 です。症状がつらい場合は、症状を和らげるお薬を処方できます。」
なぜ抗生物質の適正使用が重要なのか?
患者さん:「耐性菌って何ですか?」
医師:「長年、抗生物質が過剰に使われた結果、薬が効きにくい細菌が増えてしまったんです。これが 耐性菌 です。治療が難しくなり、命に関わることもあります。」
なかはら内科クリニックの取り組み
患者さん:「なかはら内科クリニックでは抗生物質を適正に処方していますか?」
医師:「抗生物質を適正に使用しているかどうかは、国の基準で評価されています。当院は全国の医療施設の 上位20% に認定されるほど、適正使用に努めています。」
抗菌薬適正使用体制加算とは?
患者さん:「抗生物質を適正に使っているか、国もチェックしているんですか?」
医師:「はい。そのために 抗菌薬適正使用体制加算 という制度があります。当院はこれに基づき、必要な場合にのみ抗生物質を処方しています。」
✅ 算定の要件
- 抗菌薬の使用状況を報告
- 耐性化の懸念が少ない Access抗菌薬 の使用比率が60%以上
- サーベイランスに参加する医療機関の上位30%以内
✅ 加算の目的
- 抗菌薬の適正使用の重要性の認識を高める
- AMR(薬剤耐性)対策を推進する
- 患者の治療効果を向上させる
- 将来的な耐性菌のリスクを減少させる
✅ 抗菌薬の適正使用とは?
- 適正な診断を行う
- 必要な場合にのみ、適正な「抗菌薬」を選択する
- 適正な「量」と「期間」で治療を行う
抗生物質を適正に使うことで得られるメリット
✅ 本当に必要なときに、抗生物質がしっかり効く
✅ 副作用のリスクを減らせる
✅ 将来的な耐性菌の発生リスクを抑えられる
患者さん:「なるほど…風邪のたびに抗生物質を使うのは良くないんですね。」
医師:「そうです。風邪の治療は 安静・水分補給・栄養補給 が基本です。どうしても辛い場合は、対症療法で症状を和らげるお薬を出せますので、遠慮なくご相談くださいね。」
これからも 「本当に必要な治療を」 をモットーに診療を行ってまいります!
当院では、花粉症によるアレルギー症状の治療を行っております。
花粉症でお悩みの方、気がかりな方はぜひお早めにご相談ください。
まずは診断や検査をさせていただき、患者様の症状に合ったお薬の処方などを行います。
2025.02.10
2型糖尿病患者の平均寿命について:up to date
今までの日本人を対象としたデータでも、2型糖尿病患者の平均寿命は一般人と比べて約10年短いと言われています。
糖尿病は症状が出づらい代謝の病気です。
そして、長い年月を経て血管が痛むことによって生じる
脳梗塞・狭心症・心筋梗塞などの動脈硬化疾患
として突然生じることが多いのです。
また、糖尿病(主に2型糖尿病)がある方は、がんリスクが20%ほど高いことが報告されています。
日本人では特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高いとされています。
これらが死因となることが多いのです。
さて、こんな話をされると、どうせ寿命が短くなるであれば、好きなことして過ごした方がいいということになりかねません。
しかし、ここ最近、いろいろな論文が出てきており、動脈硬化症の危険因子をコントロールすれば、一般人の同年代と同じ寿命を獲得することができるのではないかと言われています。
その因子とは。
<5つの危険因子>
①HbA1c>7%
②LDL>97mg/dL
③血圧>140/80mmHg
④喫煙
⑤微量アルブミン尿・蛋白尿
つまり、血糖コントロールだけでなく、
この5つの危険因子を正常化するだけで、同年齢の病気でない人と同じような寿命を望める。
ようになります。
Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetesより
当院では、患者さんの生活を考えながら個々人の危険因子を総合的にコントロールして、
健康寿命を延ばし、患者さんらしい人生を送ってもらえるように診療にあたっております。
2025.02.02
血圧管理:どこまで血圧を下げればいいの?
皆さんは、「血圧はどのくらいまで下げたほうがいいですか?」と疑問に思ったことはありませんか?
一般的に、血圧は低ければ低いほど心臓や血管にとって良いとされています。しかし、極端に低くなるとめまいやふらつきなどのリスクがあるため、適切な管理が重要です。
血圧管理の最新研究
数年前に米国でSPRINTトライアルという研究がありました。従来の血圧目標に対して、収縮期血圧<120mmHgでは
- 厳格降圧群(収縮期血圧120 mmHg未満)では、標準降圧群(収縮期血圧140 mmHg未満)と比べて心筋梗塞や脳卒中などのリスクが約3割減る。
- 75歳以上でも降圧目標120 mmHgが至適であることが示された。
という結果でした。
しかし、この研究は糖尿病患者が含まれていませんでした。
そこで、糖尿病患者の血圧管理は?アジア人での血圧管理は?という課題が残りました。
さらに、
過去の研究でも、2型糖尿病患者を対象としたACCORD BPでは、心血管イベント予防に関して厳格な血圧管理による利益は示されませんでした。最近のメタアナリシス(複数の研究を集めて再解析する手法)では、糖尿病の有無にかかわらず血圧の厳格管理による利益が示唆されているが、エビデンスは十分ではありませんでした。
昨年末に中国でこの問いに対する一つの結果が示されました。
2型糖尿病合併高血圧を対象としたBPROAD試験といいます。
そこで、糖尿病のある方に関しても、、収縮期血圧120mmHg未満を目指すと心血管病のリスクが21%減ることが確認されました。
血圧管理の目標は?
現在の医学的な考え方としては、
✔ 糖尿病のない方は120mmHg未満を目標にするとより健康的
✔ 糖尿病のある方も120mmHg未満を目指すことで心血管病のリスクが減る可能性がある
✔ ただし、めまいやふらつきが出ないように慎重に管理することが大切
血圧を下げるためにできること
血圧をコントロールするために、次のような生活習慣を意識しましょう。
- 塩分を控える(1日6g未満を目安に)
- 適度な運動をする(ウォーキングや軽い筋トレ)
- バランスの取れた食事を心がける(野菜や魚を積極的に)
- ストレスをためない(趣味やリラックスする時間を持つ)
- 睡眠をしっかりとる(6~8時間の質の良い睡眠)
まとめ
血圧はできるだけ低いほうが良いですが、極端に低くなりすぎないようにバランスをとることが大切です。 「最近血圧が高めかも…」「目標の血圧に達しているかな?」と気になる方は、ぜひ一度クリニックでご相談ください!
健康な生活を続けて、心臓や血管を守りましょう!
論文:Bi Y, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 16. doi: 10.1056/NEJMoa2412006.(外部リンク)。
2025.02.01
最新治療のお知らせ:週1回の基礎インスリン「アウィクリ注」のご案内
2025年が始まり、年末年始を過ごされた皆さまの健康管理をサポートしております。おかげさまで、多くの患者さまが体重増加や血糖値の悪化なく、新年を迎えられました。
今年も、皆さまとともに健康目標を立て、最適な治療を進めていきたいと考えております。
当院では、糖尿病治療において、患者さまそれぞれの病態に応じた最適な治療法をご提案しております。食事療法・運動療法だけでなく、内服薬や注射療法を含めた総合的なアプローチを行っています。
この度、インスリン治療を行っている患者さま、特に基礎インスリン(Basalインスリン)を使用されている方にとって、負担を軽減する新しい選択肢が登場しました。
週1回投与の基礎インスリン「アウィクリ注」
これまで基礎インスリンは1日1~2回の注射が必要でしたが、新たに週1回投与のインスリン「アウィクリ注 フレックスタッチ」(一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え))が使用可能となりました。
<週1回インスリンのメリット>
✅ 注射回数の大幅な減少
毎日必要だった注射が週1回になることで、年間の注射回数が約365回から52回へと減少します。 → 注射の負担軽減、続けやすい治療へ
✅ 治療継続率の向上
「毎日注射を続けられるか不安」「負担が大きい」と感じていた方にとって、治療を続けやすくなります。
✅ 外来受診の負担軽減
・注射の頻度が少なくなることで、自己管理がしやすくなります。
・外来での指導や受診の負担も軽減されます。
<注意点>
- 新薬のため、発売後1年間は2週間処方の制限 があります。
- すべての患者さまに適応されるわけではなく、個別の診察が必要です。
<ご相談・お問い合わせ>
「アウィクリ注」にご興味のある方、また現在の治療にお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。
患者さま一人ひとりのライフスタイルや治療方針に合わせた最適な方法をご提案いたします。
2025.01.25
もう、花粉飛散してますよね。
1月2週目から、鼻汁、くしゃみ出てきて、目も痒くなってきました。
もう出てきましたね、アレ。
抗アレルギー薬使用すると軽快しています。
1月末に入ると患者さんが増えてきました。
なかはら内科クリニックでは花粉症に対応しています。
気合いで乗り越えられない花粉による症状を内服・目薬・点鼻薬、適宜使用しながら、一緒に乗り越えていきましょう!
過去のブログです。