テニス観戦から考える“健康寿命をのばすスポーツ”
2025/11/02
テニス観戦から考える“健康寿命をのばすスポーツ”
最近はテニス観戦が私の楽しみのひとつです。
秋には木下グループジャパンオープンで世界ランキング1位のアルカラス選手のプレーを観戦し、世界トップレベルの動きに感動しました。先日の東レ パン・パシフィック・オープンでは女子の試合を観に行き、優勝選手のサイン会にも当選するという幸運もありました。
プロ選手の集中力や体のキレを間近で見ると、「運動の力ってすごいな」と改めて感じます。
① テニスは“寿命をのばすスポーツ”という研究結果
実はこの「テニス」、医学的にも寿命をのばす効果が最も高いスポーツとして知られています。
デンマークで約8,500人を25年間追跡した有名な研究(Mayo Clinic Proceedings, 2018年)によると、
スポーツの種類別に平均余命の延びを比較した結果は次の通りでした:
| スポーツの種類 | 平均寿命の延び |
|---|---|
| テニス | 約9.7年 |
| バドミントン | 約6.2年 |
| サッカー | 約4.7年 |
| サイクリング | 約3.7年 |
| ジョギング | 約3.2年 |
| 水泳 | 約3.4年 |
| 健康体操 | 約3.1年 |
この研究では、テニスなど「相手や仲間と一緒に楽しむスポーツ」は社会的なつながりが強く、ストレス軽減やメンタル面の安定に寄与することが寿命の延びにつながっていると考察されています。
また、テニスは有酸素運動と瞬発的な運動を組み合わせた全身運動であり、心肺機能の向上、血圧や血糖の改善、筋肉量の維持にも効果的です。
② 他にも健康寿命をのばすスポーツ
もちろん、テニスだけでなく続けやすいスポーツはいくつもあります。以下に代表的なものを紹介します。
■ ウォーキング
最も手軽に始められる運動です。
1日30分、週5日ほどのウォーキングで、心疾患や糖尿病、認知症のリスクが下がることが多くの研究で示されています(米国心臓協会など)。
姿勢を正して少し速めのテンポで歩くのがポイントです。
■ 水泳
関節への負担が少ないため、膝や腰に不安のある方にも安全に行える全身運動です。
心肺機能を高め、血圧を安定させる効果があります。
■ 太極拳
中国発祥のゆっくりとした動きの運動ですが、バランス能力・筋力・集中力を鍛えることができ、特に高齢者の転倒予防に有効とされています。
最近では「メンタルヘルスの改善効果」も注目されています。
■ 社交ダンスやグループエクササイズ
音楽に合わせて体を動かすことが多く、運動効果+社会的つながり+楽しさを同時に得られるのが特徴です。
実際、社交ダンスをしている人は認知症発症リスクが低いという報告もあります。
③ 医学的メカニズム ― なぜ運動で健康寿命がのびるのか
- 血管・心臓の機能が若く保たれる
→ 運動によって血流が良くなり、動脈硬化の進行を防ぎます。 - 筋肉量・骨密度の維持
→ 加齢によるサルコペニアや骨粗しょう症の予防に役立ちます。 - 認知機能・メンタルの改善
→ 運動は脳内で「BDNF」という神経保護物質を増やし、認知症予防につながります。 - 社会的交流によるストレス軽減
→ 仲間と笑い合う時間が自律神経を整え、うつ症状や孤独感を防ぎます。
④ 患者さんへのアドバイス
大切なのは、「完璧にやることよりも、楽しく続けること」です。
テニスでもウォーキングでも、週に数回でも構いません。
最初は5〜10分から始め、少しずつ体を慣らしていくことが大切です。
もし持病がある方は、運動を始める前に一度ご相談ください。
安全な範囲でできる運動を一緒に考えましょう。
なかはら内科クリニックでは、生活習慣病の改善や健康寿命をのばすための運動アドバイスも行っています。
「無理なく、楽しく、長く」続けられる健康づくりを一緒に目指していきましょう。



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