肥満症と糖尿病治療の新しい考え方

2025/11/30

肥満症と糖尿病治療の新しい考え方

~治療のゴールは「減量」ではなく「再出発」~

こんにちは、はかはら内科クリニックです。
今回は、2025年11月に行われた「川崎市糖尿病懇話会」で発表してきた内容をもとに、
肥満症と糖尿病治療について、わかりやすくご紹介します。


🔍 肥満症って何?ただ太っているだけじゃない?

肥満とは、脂肪が体に過剰にたまった状態のことで、BMIが25kg/m²以上であれば「肥満」とされます。
しかし「肥満症」となると、それだけではありません。

肥満によって健康障害(病気)を合併した状態
→ これが「肥満症」と呼ばれる病気です。

以下のような病気が合併していると、肥満症と診断されます。

✅ 肥満に関連する主な健康障害:

  • 2型糖尿病・耐糖能異常
  • 脂質異常症(コレステロールなど)
  • 高血圧
  • 脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、関節痛など

BMIが35kg/m²以上であれば、「高度肥満」とされ、より積極的な治療が必要です。


🩺 治療の第一歩は「生活習慣を整えること」

肥満症の治療は、ただ体重を減らすことではありません。
「健康障害を改善すること」が最大の目標です。

🍽 食事療法

  • 目標体重に合わせて、1日あたりのカロリー量を決定します(目安:25kcal × 目標体重)。
  • 炭水化物・脂質・タンパク質のバランスを整えることで、無理なく続けやすくなります。
  • 最初は「現体重の3%減」からスタート!最終的には5~10%の減量を目指します。

🏃‍♀️ 運動療法

  • 毎日30分程度の有酸素運動(ウォーキングなど)を目標にします。
  • 無理な運動ではなく、「今より10分長く歩く」など、続けられる工夫が大切です。
  • 筋力トレーニングも取り入れると、代謝が上がりやすくなります。

💊 薬の力を借りることは「甘え」ではありません

生活習慣の改善を頑張っても、思うように体重が減らない…。
そんなとき、薬物療法が大きなサポートになります。

特に注目されているのが、以下の薬です:

✅ GLP-1受容体作動薬(セマグルチド、チルゼパチドなど)

  • 自然と食欲が減る
  • 血糖値・血圧・コレステロールも改善
  • 「体重を戻そうとする体の働き」にブレーキをかけてくれる

つまり、これらの薬は「魔法の薬」ではなく、
あなたの“変わりたい”という気持ちを後押しする、力強い味方なのです。


📉 継続が大切!リバウンドを防ぐには?

多くの方が経験する「リバウンド」。
実は、これは意志の問題ではなく、**体の自然な反応(代謝適応)**によるものです。

  • 食欲を増やすホルモンが増える
  • 満腹を感じにくくなる
  • 消費エネルギーが減る

薬をやめると、こうした反応が再び働き、体重が戻りやすくなるのです。

実際、ある臨床試験では薬を中止したグループで14%も体重が戻ったというデータもあります。


👫 医療と患者さんは「パートナー」

肥満症は、「薬を出して終わり」の病気ではありません。
私たちは、患者さんと一緒に歩んでいく伴走者です。

  • 一人ひとりの生活習慣や体調に合わせて、最適な治療を提案
  • 併存疾患(高血圧・脂肪肝・腎症など)も一緒に管理
  • 長期的にリバウンドを防ぎながら、健康的な生活を“習慣化”

🌈 減量はゴールではなく、新しい人生のスタート!

体重が減ることは、健康を取り戻す大きなチャンス
そして、それは「治った」ではなく「再スタート」なのです。


📌 最後に:あなたらしい一歩から始めましょう

治療を始めるのに「完璧な準備」はいりません。
「変わりたい」と思った今が、その最初の一歩です。

💬「先生、この薬をやめたら体重戻りますか?」

→ 答えは「治療を続ければ戻りません」。
あなたの努力と、私たちのサポートがあれば、大丈夫です。



ご相談はいつでもどうぞ。
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