血圧管理:どこまで血圧を下げればいいの?
2025/02/02
血圧管理:どこまで血圧を下げればいいの?
皆さんは、「血圧はどのくらいまで下げたほうがいいですか?」と疑問に思ったことはありませんか?
一般的に、血圧は低ければ低いほど心臓や血管にとって良いとされています。しかし、極端に低くなるとめまいやふらつきなどのリスクがあるため、適切な管理が重要です。
血圧管理の最新研究
数年前に米国でSPRINTトライアルという研究がありました。従来の血圧目標に対して、収縮期血圧<120mmHgでは
- 厳格降圧群(収縮期血圧120 mmHg未満)では、標準降圧群(収縮期血圧140 mmHg未満)と比べて心筋梗塞や脳卒中などのリスクが約3割減る。
- 75歳以上でも降圧目標120 mmHgが至適であることが示された。
という結果でした。
しかし、この研究は糖尿病患者が含まれていませんでした。
そこで、糖尿病患者の血圧管理は?アジア人での血圧管理は?という課題が残りました。
さらに、
過去の研究でも、2型糖尿病患者を対象としたACCORD BPでは、心血管イベント予防に関して厳格な血圧管理による利益は示されませんでした。最近のメタアナリシス(複数の研究を集めて再解析する手法)では、糖尿病の有無にかかわらず血圧の厳格管理による利益が示唆されているが、エビデンスは十分ではありませんでした。
昨年末に中国でこの問いに対する一つの結果が示されました。
2型糖尿病合併高血圧を対象としたBPROAD試験といいます。
そこで、糖尿病のある方に関しても、、収縮期血圧120mmHg未満を目指すと心血管病のリスクが21%減ることが確認されました。
血圧管理の目標は?
現在の医学的な考え方としては、
✔ 糖尿病のない方は120mmHg未満を目標にするとより健康的
✔ 糖尿病のある方も120mmHg未満を目指すことで心血管病のリスクが減る可能性がある
✔ ただし、めまいやふらつきが出ないように慎重に管理することが大切
血圧を下げるためにできること
血圧をコントロールするために、次のような生活習慣を意識しましょう。
- 塩分を控える(1日6g未満を目安に)
- 適度な運動をする(ウォーキングや軽い筋トレ)
- バランスの取れた食事を心がける(野菜や魚を積極的に)
- ストレスをためない(趣味やリラックスする時間を持つ)
- 睡眠をしっかりとる(6~8時間の質の良い睡眠)
まとめ
血圧はできるだけ低いほうが良いですが、極端に低くなりすぎないようにバランスをとることが大切です。 「最近血圧が高めかも…」「目標の血圧に達しているかな?」と気になる方は、ぜひ一度クリニックでご相談ください!
健康な生活を続けて、心臓や血管を守りましょう!
論文:Bi Y, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 16. doi: 10.1056/NEJMoa2412006.(外部リンク)。
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