コロナ陽性率とコロナ治療薬の臨床研究について

2024/07/25

コロナ陽性率とコロナ治療薬の臨床研究について

なかはら内科クリニックでは毎月初めに前月の感染症の検査陽性率を掲示しております。

当院ではいろいろ臨床研究に参加しています。
その一環としてシオノギから販売されているゾコーバの臨床研究として参加していただける患者さんにコロナ治療薬であるゾコーバを研究協力金と一緒にもらえる可能性がございます。

もし、参加希望の患者さんがおられましたら、院長にお声がけください。

以下転載

本研究の背景

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2023年5月から5類感染症に移行しましたが、罹患後症状(いわゆる後遺症)と呼ばれる病態は今も世界における深刻な問題であり、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与えています。

 新型コロナ後遺症とは、急性期を回復した後も倦怠感、呼吸苦、脱毛、集中力低下、記憶力低下などの症状が遷延する状態を指します。

 私たちの最近の研究では、発症から4週間後の時点で何らかの後遺症に関連した症状がみられたのは5.2%でした(J Infect Chemother. 2023 Dec 14:S1341-321X(23)00310-0.)。これまでの後遺症の特徴として、男性よりも女性、若い人よりも高齢の方、急性期に軽症だった方よりも重症だった方が後遺症の症状がみられやすいということが分かっています。現時点では、後遺症の症状がすでに出てしまっている方に対する治療法は確立されていませんが、感染前に新型コロナワクチンを接種していた人は、接種していなかった人よりも後遺症の症状を起こしにくいことが分かっています。

 最近になって、COVID-19の急性期における抗ウイルス薬の投与が、その後の後遺症の発現リスクを低減させるのではないかとする報告がいくつか出てきています。エンシトレルビルフマル酸(商品名ゾコーバ)もその1つであり、国際共同研究の探索的解析によって、急性期にエンシトレルビルフマル酸を処方された患者ではその後の罹患後症状に関連する症状が低減していたことが報告されています。しかし、急性期における抗ウイルス薬の投与が後遺症に与える影響については、前向きに行われたエビデンスレベルの高い臨床研究では示されていません。

 そこで我々は、急性期の軽症COVID-19患者に対してエンシトレルビルフマル酸を投与することで、その後の後遺症の発現リスクを低減できるのかを、前向きのランダム化比較試験で検証することにいたしました。

本研究の概要

 本研究は、「エンシトレルビルフマル酸のCOVID-19罹患後症状に対する有効性の検証(RESILIENCE Study)」と題し、軽症COVID-19患者を対象にエンシトレルビルフマル酸を5日間投与し、その後の罹患後症状の発生をプラセボ群と比較して評価します。研究デザインは単施設、無作為割付、二重盲検、並行群間比較試験で、エンシトレルビル群とプラセボ群で各1000例を予定しています。

本研究の対象となる患者

 本研究の対象者は、COVID-19と診断され、症状発現から72時間以内、かつ、重症度分類が軽症の患者です。18歳以上で、同意が得られる方が対象となります。一方で、COVID-19の重症化リスクが高い患者、過去15日以内に特定の抗ウイルス薬や治療薬の投与を受けた患者などは除外基準となっています。


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