~治療のゴールは「減量」ではなく「再出発」~
こんにちは、はかはら内科クリニックです。
今回は、2025年11月に行われた「川崎市糖尿病懇話会」で発表してきた内容をもとに、
肥満症と糖尿病治療について、わかりやすくご紹介します。
「肥満は努力が足りないから」と思っていませんか? 実はそれ、誤解なんです。
🔍 肥満症って何?ただ太っているだけじゃない?
肥満とは、脂肪が体に過剰にたまった状態のことで、BMIが25kg/m²以上であれば「肥満」とされます。
しかし「肥満症」となると、それだけではありません。
肥満によって健康障害(病気)を合併した状態
→ これが「肥満症」と呼ばれる病気です。
以下のような病気が合併していると、肥満症と診断されます。
✅ 肥満に関連する主な健康障害:
- 2型糖尿病・耐糖能異常
- 脂質異常症(コレステロールなど)
- 高血圧
- 脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、関節痛など
BMIが35kg/m²以上であれば、「高度肥満」とされ、より積極的な治療が必要です。
🩺 治療の第一歩は「生活習慣を整えること」
肥満症の治療は、ただ体重を減らすことではありません。
「健康障害を改善すること」が最大の目標です。
🍽 食事療法
- 目標体重に合わせて、1日あたりのカロリー量を決定します(目安:25kcal × 目標体重)。
- 炭水化物・脂質・タンパク質のバランスを整えることで、無理なく続けやすくなります。
- 最初は「現体重の3%減」からスタート!最終的には5~10%の減量を目指します。
🏃♀️ 運動療法
- 毎日30分程度の有酸素運動(ウォーキングなど)を目標にします。
- 無理な運動ではなく、「今より10分長く歩く」など、続けられる工夫が大切です。
- 筋力トレーニングも取り入れると、代謝が上がりやすくなります。
💊 薬の力を借りることは「甘え」ではありません
生活習慣の改善を頑張っても、思うように体重が減らない…。
そんなとき、薬物療法が大きなサポートになります。
特に注目されているのが、以下の薬です:
✅ GLP-1受容体作動薬(セマグルチド、チルゼパチドなど)
- 自然と食欲が減る
- 血糖値・血圧・コレステロールも改善
- 「体重を戻そうとする体の働き」にブレーキをかけてくれる
つまり、これらの薬は「魔法の薬」ではなく、
あなたの“変わりたい”という気持ちを後押しする、力強い味方なのです。
📉 継続が大切!リバウンドを防ぐには?
多くの方が経験する「リバウンド」。
実は、これは意志の問題ではなく、**体の自然な反応(代謝適応)**によるものです。
- 食欲を増やすホルモンが増える
- 満腹を感じにくくなる
- 消費エネルギーが減る
薬をやめると、こうした反応が再び働き、体重が戻りやすくなるのです。
実際、ある臨床試験では薬を中止したグループで14%も体重が戻ったというデータもあります。
👫 医療と患者さんは「パートナー」
肥満症は、「薬を出して終わり」の病気ではありません。
私たちは、患者さんと一緒に歩んでいく伴走者です。
- 一人ひとりの生活習慣や体調に合わせて、最適な治療を提案
- 併存疾患(高血圧・脂肪肝・腎症など)も一緒に管理
- 長期的にリバウンドを防ぎながら、健康的な生活を“習慣化”
🌈 減量はゴールではなく、新しい人生のスタート!
体重が減ることは、健康を取り戻す大きなチャンス。
そして、それは「治った」ではなく「再スタート」なのです。
📌 最後に:あなたらしい一歩から始めましょう
治療を始めるのに「完璧な準備」はいりません。
「変わりたい」と思った今が、その最初の一歩です。
💬「先生、この薬をやめたら体重戻りますか?」
→ 答えは「治療を続ければ戻りません」。
あなたの努力と、私たちのサポートがあれば、大丈夫です。
お気軽にご相談ください。
肥満症の治療は、「自分を責めること」ではなく、
**「未来の自分に優しくなること」**です。
ご相談はいつでもどうぞ。
📍 なかはら内科クリニック|肥満症・糖尿病専門外来
先日、地域の開業医の先生方を対象とした二つの講演会に、高血圧学会専門医および糖尿病学会専門医として登壇しました。神奈川県内でも両方の専門医資格を持つ医師は多くないため、今回の講演はその立場から地域の先生方へ最新の知識を還元する貴重な機会となりました。
一つ目は、川崎市医師会館で開催された「Hypertension Seminar」です。
高血圧治療ガイドライン(JSH2025)の内容を中心に、130/80を目指す血圧管理のポイントや、ARNIを含む新たな治療選択肢について解説しました。ガイドラインの“実際の診療での使い方”を意識し、診療現場で生じやすい疑問点を整理しながらお伝えしました。
二つ目は、横浜ランドマークタワーで開催された「第11回 実地医家のための糖尿病治療を考える会」です。
こちらでは、糖尿病治療ガイド2024の改訂内容、アルゴリズムの読み解き方、SGLT2阻害薬やGIP/GLP-1受容体作動薬など新規薬剤の位置づけについてお話ししました。
ガイドラインに基づく診療アルゴリズムをより具体的に日常診療へ落とし込めるよう工夫しました。
地域医療を支える「専門性の共有」
講演を通じてあらためて感じたのは、地域の医師同士が専門的な知識を共有し合うことの大切さです。
高血圧と糖尿病は、ともに生活習慣病の中心であり、地域医療の根幹を支える重要な疾患です。
そのため、最新の治療指針をわかりやすく伝え、診療に取り入れやすい形で共有することは、地域全体の医療の質を高めることにつながります。
地域の健康を支えるために
なかはら内科クリニックは、個々の患者さんの診療に加え、地域医療への貢献も大切な使命と考えています。
今回の講演活動が、川崎・横浜エリアのみなさまの健康増進へ少しでも役立つことを願っております。
今後も、高血圧・糖尿病専門医としての知見を活かし、地域医療の発展に寄与できる活動を続けてまいります。
11月22日 土曜日 は院長不在のため、松見医師の代診となります。
12月19日 金曜日午後診療 は院長不在のため、宮下医師の代診となります。
それに伴い、 午後の感染症外来はございません。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。
これまで、フリースタイルリブレ2のセンサー交換(剥がれ・センサー不良・スマートフォンとの互換性の問題など)をカスタマーセンターへ電話で依頼する際、つながりにくい状況が続いていました。
現在は インターネット上から簡単に交換申請ができるように改善 されています。
これまで不具合でお困りだった患者様にとって、とても便利な仕組みになりました。
下記の公式ページから、案内に沿って進めるとスムーズに申請できます。
(リンク)
交換リンク
ぜひご活用ください。
11月の木曜診療日は13日、20日、27日です。
木曜午前は予約制で、定期診療に加え、かかりつけの患者様を対象に動脈硬化症関連の検査日としております。
インフルエンザワクチン、コロナワクチン接種も可能です!
木曜日は感染症外来は行っておりませんのでご了承ください。
最近はテニス観戦が私の楽しみのひとつです。
秋には木下グループジャパンオープンで世界ランキング1位のアルカラス選手のプレーを観戦し、世界トップレベルの動きに感動しました。先日の東レ パン・パシフィック・オープンでは女子の試合を観に行き、優勝選手のサイン会にも当選するという幸運もありました。
プロ選手の集中力や体のキレを間近で見ると、「運動の力ってすごいな」と改めて感じます。
① テニスは“寿命をのばすスポーツ”という研究結果
実はこの「テニス」、医学的にも寿命をのばす効果が最も高いスポーツとして知られています。
デンマークで約8,500人を25年間追跡した有名な研究(Mayo Clinic Proceedings, 2018年)によると、
スポーツの種類別に平均余命の延びを比較した結果は次の通りでした:
| スポーツの種類 | 平均寿命の延び |
|---|
| テニス | 約9.7年 |
| バドミントン | 約6.2年 |
| サッカー | 約4.7年 |
| サイクリング | 約3.7年 |
| ジョギング | 約3.2年 |
| 水泳 | 約3.4年 |
| 健康体操 | 約3.1年 |
この研究では、テニスなど「相手や仲間と一緒に楽しむスポーツ」は社会的なつながりが強く、ストレス軽減やメンタル面の安定に寄与することが寿命の延びにつながっていると考察されています。
また、テニスは有酸素運動と瞬発的な運動を組み合わせた全身運動であり、心肺機能の向上、血圧や血糖の改善、筋肉量の維持にも効果的です。
② 他にも健康寿命をのばすスポーツ
もちろん、テニスだけでなく続けやすいスポーツはいくつもあります。以下に代表的なものを紹介します。
■ ウォーキング
最も手軽に始められる運動です。
1日30分、週5日ほどのウォーキングで、心疾患や糖尿病、認知症のリスクが下がることが多くの研究で示されています(米国心臓協会など)。
姿勢を正して少し速めのテンポで歩くのがポイントです。
■ 水泳
関節への負担が少ないため、膝や腰に不安のある方にも安全に行える全身運動です。
心肺機能を高め、血圧を安定させる効果があります。
■ 太極拳
中国発祥のゆっくりとした動きの運動ですが、バランス能力・筋力・集中力を鍛えることができ、特に高齢者の転倒予防に有効とされています。
最近では「メンタルヘルスの改善効果」も注目されています。
■ 社交ダンスやグループエクササイズ
音楽に合わせて体を動かすことが多く、運動効果+社会的つながり+楽しさを同時に得られるのが特徴です。
実際、社交ダンスをしている人は認知症発症リスクが低いという報告もあります。
③ 医学的メカニズム ― なぜ運動で健康寿命がのびるのか
- 血管・心臓の機能が若く保たれる
→ 運動によって血流が良くなり、動脈硬化の進行を防ぎます。
- 筋肉量・骨密度の維持
→ 加齢によるサルコペニアや骨粗しょう症の予防に役立ちます。
- 認知機能・メンタルの改善
→ 運動は脳内で「BDNF」という神経保護物質を増やし、認知症予防につながります。
- 社会的交流によるストレス軽減
→ 仲間と笑い合う時間が自律神経を整え、うつ症状や孤独感を防ぎます。
④ 患者さんへのアドバイス
大切なのは、「完璧にやることよりも、楽しく続けること」です。
テニスでもウォーキングでも、週に数回でも構いません。
最初は5〜10分から始め、少しずつ体を慣らしていくことが大切です。
もし持病がある方は、運動を始める前に一度ご相談ください。
安全な範囲でできる運動を一緒に考えましょう。
なかはら内科クリニックでは、生活習慣病の改善や健康寿命をのばすための運動アドバイスも行っています。
「無理なく、楽しく、長く」続けられる健康づくりを一緒に目指していきましょう。